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メモリが1MB1万円もし、カラーが16色で、しかも640×400なんて狭く薄暗い(当時頑張っていた人御免なさい)時代から考えると、わずか6〜7年で、CGの世界観は実に大きく転換しましたね。 ハード本体にしたところで、CPUの速度は数十倍、3DCGなら数百倍もパワーアップ! かく言う私自身も、もしフルカラーCGが普及していなければCGなんて見向きもしなかったと思います。余談ですが、ヘアの解禁も無ければ、『アルテミスの森の妖精たち』も作成しようとは考えなかったと思います。
上の表をご覧になって分かるように、CGは絵画と写真の間に位置し、尚かつオリジナルというものがありません。 絵画と写真の中間に位置するCG。そのCGがそのアイディンティティを主張できるのは「修正の安易さ」につきます。 しかし、一方で、CGが絵画と写真。つまり、現実世界と空想世界との間に位置することは最大の特徴であると思います。 現在、日本で主流とされるCG画風はなんといってもアニメ調でしょう。その人気たるや他の画風を圧倒しております。 アニメが非常に発達し、現在の40歳代以下の世代には生活基盤の一つにさえ根付いている日本では致し方ないこととも思えます。 漫画から生まれ、発達してきたアニメですが、その色使いは漫画のそれとは違い、完全に一つの画風を生み出しております。 私自身も本当にアニメ好きなのですが、私自身はアニメ調の絵をCGで描こうとは思っておりません。 しゃべり、動き回るアニメ。それを精緻に描いたCG。 そのCGは動いているアニメの魅力を捕らえたもので、いわば写真ということになりす。 ですから、この関係を継続してもCGは決してアニメ凌駕することは出来ないとになるのではないかと考えます。 もちろん、だからといってアニメ調を否定するものではありません。 ただ、現在の状況を見ると、あまりにも偏りすぎているのではないのだろうかと思います。 では、リアリティを追求すればどうでしょう? 言い換えれば、リアリティを追求すれば、写真に敵わないことになりますし、油絵調を追求したところで現実の油絵には敵わないことになります。 ただ、絶対撮影できない写真を創ることもできますし、非常に手間暇のかかる絵をいとも簡単に修正し、作者のより目指した『絵』を完成することもできます。 CGを『筆』や『カメラ』と考えると、ほとんど『夢のような道具』となるかもしれません。 CGは本当にまだ生まれたばかり。 しかし、戦争などの『事実』の伝達にその『才能』を評価され、現在の地位(アイデェンティティ)を確保しました。 CGもいずれ、現行の画風の模倣ではなく、独立した地位を築くことになると思います。 1999年6月15日 |